第53章

藤原翔太は瞬時に怒りを爆発させた。

「兄貴、俺が誠意を持って心の内を打ち明けたのに、水を差すなんて。もう兄貴なんて知らないからね、ふん！」

彼は激怒して電話を切り、怒りのあまりクッキーさえ喉を通らなくなった。

一方、海外にいる藤原陽太は冷ややかに顔を向け、隣の秘書を見た。「明日、下川に戻る。航空券を手配してくれ」

「坊ちゃま、明日は支社の視察があり、明後日は海外株主総会にご出席いただく予定です……これらは藤原社長ご自身からの指示で」

「なら三日後の便を押さえてくれ」

藤原陽太は小さな顔を引き締めて言った。

葉村尚子という女性が勢いよく現れ、母の実家の者たちは全く太刀打ちできてい...